2016年 12月 27日
2017.01.09【金継による器修繕について、お話し会のお知らせ】 |
こんにちは、あっという間に2016年も終わってしまいそうですね。やっと冬らしい寒さになってきましたね。年越しはこうでないと!みなさま、素敵な新年をお迎えくださいね:)
さて、年が明けて1月9日に漆のお話し会を予定しております。少ーし長くなりますが、勉強になります。
ご一読くださいませ。
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記念の品、思い出の品、毎日に必要な器だったり、もう売っていない、作ってもらえないような品、高級な品。そんな大切な器が割れて、お別れしようとしてもしきれないとき
漆という素材、金継という技法について一緒に学んでみませんか?
10年以上愛用していた大切な器が割れた日、私にとって「うるし、きんつぎ」はぼんやりとした存在でした。
うるし って、かぶれそう。。とか、きんつぎって難しそう。とか、高そう。といったイメージばかりでした。しかし ただ、器を直してもらいたい!という一心で漆師のいちだめぐりさんをご紹介いただきました。
いちだめぐりさんという方とお話しを進めることによって少しずつ紐解かれていった漆という素材。少しずつ知るたびにより興味深く、歴史ある素材に思えてきます。
と同時に、漆の扱いは自然と一緒につくり上げる時間のかかる作業だということ、細かな作業は経験で仕上がりに差があること、いろいろと道具が必要であり、その道具の手入れ、漆の保管、管理も必要であること。
毎日忙しく働いていたりする方は、専門の方にお願いするほうがオススメということも感じました。
そして学ぶにつれ、合成うるし(新うるし)という存在も知りました。
⚠今回、本来の漆とは別素材の合成うるしについてお話をするとお話しがそれてしまうので、本物の本漆について深くお話ししたいと思います。
また、金継の技法として、割れた器とは別の欠片を継ぎ足して補修する「呼び継ぎ」や、木材で紛失した破片部分を造って修復される技術にはすごい!!!と知らない世界を知り、とても感動しました。
漆はほとんどの方がかぶれるそうです。
値段がする理由は修繕にはかなりの工程と日数、技術を要するからです。だからこそその分、専門に学んだ方に修繕してもらい末永く使ってもらいたい。
知ることによって 漆、金継への対価が少しずつわかってきました。
私はこれまでたくさんのお客さまへ器を販売しました。
お客さまが気にいった器かどうかは私の手から離れた瞬間には一瞬しかわかりません。使い続けることで気にいっているかそうでないかはお客さまにしかわからないことです。
もしも、気にいっていた大切な器が割れた時、ご相談ください。
買った値段より修繕費の方が高くなる可能性もあります。
それでも、治したい。大切に使いたい。と願う大切な器にだけ。
金継依頼をされた器は幸せものです。
何より、仕上がり、再生した器との再会は感動します。
傷は美しさとなり、また今までとは違う表情の佇まいです。
割れた器の行き先を幸せなものにしてあげたいという思いで私たちはいます。
愛用の器に うるし という知らない素材が使われるとき、少し知っていると安心です。
【金継とは】
(私がいちだめぐりさんに学んだ金継について)
金継とは昔から使われている漆の技法のひとつです。
日本人が漆を使い始めたのは縄文時代からと言われています。
漆とは「ウルシの木」から採れる樹液です。
15年かけて育ったウルシノキから樹液を採ります。
ウルシノキ一本からだいたい200cc。
幹を傷つけられた時の木自体の応急処置として傷を覆い隠し、病気感染などを防ぐために自らの樹液を使います。
そして不思議なことに、うるしは月日が経てば経つほど硬化していきます。漆の中のウルシオールという成分が水分と化学反応をおこし、「乾燥」ではなく、「硬化」します。
このような日本古来から使われている天然の塗料に金や銀などの金属粉でヒビや欠け部分の美しさをさらに引き出していきます。金継は室町時代、茶道の世界から行われるようになったそうです。日本特有の美意識が生みだした修繕方法です。
偶然に出来た模様だけでも美しいため、修繕は漆だけで仕上げることも可能です。
金継を含めた修繕は永久的なものではなく、 直しながら永く使っていく という考え方の修繕方法です。
使用頻度と経年によっては剥がれたり薄れてくる場合もございます。その際は 継続修繕 という形でまた漆を重ねていきます。
尚、お店では金継の修繕依頼(見積もり)、ご相談も随時受付しております。いちだめぐりさんによる修繕です。
基本の料金はどのような小さな欠けでも3600円〜となります。noum.miyuki@gmail.comまでご連絡ください。
他のお店でご購入された商品でも受付しております。
なお基本の料金は鹿児島県内でお店に持ち込みできる方のみとなります。県外(配送)の方は別途料金をご案内致します。
【はじめまして、うるし(漆のお話し会)】
2017年1月9日(月・祝) 15:00-16:30
大阪より、漆師、ひょうたんにぽん舎、いちだめぐりさんをお迎えして漆のお話し会を開催します。
お話し会では、「はじめまして、うるし」として漆について第一歩を学びます。漆についてのお話しはもちろん、気になる金継ぎの工程、金、銀、錫、真鍮の金属粉の仕上がりの風合いについてもお話し致します。参加の方からの質問にもおこたえする時間も作れたらと思います。(漆に関することなら漆器に関することでもおこたえします。)また、割れた器の修繕費見積もりも承ります(見積もり無料)
少しでもご興味のある方はぜひぜひご参加ください:)
会費︰テキスト、お茶つき 1000円。
持ち物︰筆記用具。割れた器のご相談があれば現物か写真など。
定員10名ほど。要予約(お電話0992254587かメールにて)
私からも質問を用意しました。
どのような答えが返ってくるか楽しみです。
大人になってから興味のあることを学ぶというのは楽しいことですね♪答えは当日、一緒に学びましょう。
私の気になる質問
・金継というと陶磁器のイメージですが、木製品、ガラス製品は修繕可能でしょうか?
・修繕後の取り扱いはどのすればよいのでしょうか?
・修繕をお願いした器は、金属粉だけが剥がれたりするような心配はありますか?
・陶器用ボンドまたは合成うるしなどで以前接着した箇所が剥がれてしまい、改めて同じ箇所を金継ぎをお願いすることは可能でしょうか?
・はじめての人が本漆の修繕に挑戦する場合、どのような注意が必要ですか??
・硬化したあとの漆(使用の際)にかぶれるということはあるのですか?
【ひょうたんにぽん舎いちだめぐりさんより】
はじめまして!現在、大阪でうるしの仕事をさせていただいております、ひょうたんにぽん舎いちだめぐり です。そのなのとおり、普段は「ひょうたん」と「にぽん(→japan(英語で漆という意味です)を使って器やカトラリー、漆のアクセサリーを作っております。
漆は毎日の湿度温度など環境の変化で仕上がりの顔を変えます。そうなんです、漆は私たち作り手の元にきてもなお生きています。そして使い手の皆様の元に届いても生き続けています。「 生きている塗料 」 。世界中みてもこんな塗料は稀です。
そんな魅力にあふれた漆を皆様にもお伝えできればとおもいます。そして普段の扱いや保管方法などもご相談ください。ご自宅にある漆器がございました、相談もお受けいたしますので、現物もしくは画像をお持ちください。
こんな素晴らしい素材を扱えていることが、うれしくて楽しくて仕方ありません。まだまだお伝えしたいこともたくさんあります!
お話し会で皆さまにお会いできることを楽しみにしています。
プロフィール
1987 熊本県生まれ
2005 京都市銅駝美術工芸高等学校デザイン科卒業
2007 広島市立大学入学、芸術学部デザイン工芸科漆造形専攻
2010 石川県輪島漆芸研修所入所
2013 広島市市立大学卒業
2016 ひょうたんにぽん舎いちだめぐりとして活動、主にひょうたんを生地として漆器の制作と、金継による器修繕を引き受ける
by Mono_kari_17
| 2016-12-27 21:26